

【参加報告】災害対策研修会
●テーマ:福祉施設職員向け研修 「高齢者福祉施設におけるBCP(事業継続計画)およびBCM(事業継続マネジメント)を学ぶ」
●日時:2019年1月18日(金) 13時30分~16時30分
●場所:県立長寿社会福祉センター 第一研修室
●講師:佛教大学 福祉教育センター講師 後藤至功氏
●事例報告:地域密着型小規模特別養護老人ホームさわの風 施設長 吉田和浩さん ~高島市における災害時要配慮者支援体制構築に向けた官民協働の取り組みについて~
メディアで流れる自然災害に関する報道を見るたびに、公私ともに災害に対する備えをしなくてはいけないと思いながらも、皆さまなかなか準備が進まない現状ではないでしょうか。災害対策のひとつ、事業所の「BCP」策定のきっかけになればと思い当研修に参加しました。
研修では後藤先生より、過去の自然災害時の教訓や福祉施設の「BCP(事業継続計画)」の考え方や盛り込むべき内容、大規模災害時における福祉施設の対応についてご教示いただきました。(下記は一例です)
・自然災害時など有事の際、想定しておくべき次の具体的な項目を定めること
(利用者の安否確認の手順・役割 職員の安否確認 受け入れ態勢 施設が求められる社会的役割など)
・福祉避難所の備蓄物品 避難者の受け入れ態勢 対応者の役割
・自施設がおかれている地域特性の分析と把握
・既存の災害時マニュアル等の検証と訓練の実施
・福祉施設は病院ではなく生活場所であること
・災害時においても施設職員の労務管理を疎かにしないこと
・福祉避難所は病院ではなく生活の場所であること 等々
また、研修後半に行ったグループワークでは、参加者からは、
・「地震想定のBCPがあるが見直さないといけない」
・「全く策定できていない」
・「大地震の対応が不安」
・「福祉避難所の機能役割が果たせるか不安」
・「そろそろ真剣に考えないといけない」
などのコメントがあり、災害対策については平素より意識しておくべき大切なことだと再認識しました。
自施設の地域特性、自然災害が起こり得る可能性、施設が担う地域での役割などをまず把握(知ること)が重要であり、グループワークを通じて他施設のおかれている環境と比較し自施設を把握することができるよい機会となりました。また、有事の際、施設が福祉避難所として機能するためには、その具体的な対応や事前準備等について早めに地元の行政と話し合いをしておく必要があると感じました。
特別養護老人ホームやまでら 田内 学
(滋老協広報委員)
参考
- BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは・・・事業所が地震や水害などの自然災害や感染症の流行など不測の事態によって被害を受けた場合でも、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り早急に再開できるように事前に取り決めておく計画のこと。
- BCP策定および運用の必要性について・・・緊急事態が発生した際に有効な手段を打つことができなければ、事業所の閉鎖や事業縮小を余儀なくされる可能性がある。そうした状況を回避するためには事前の対策でもあるBCPを策定し運用することで、緊急時にあっても重要な事業の継続・早期復旧を図ることができる。また、BCPを計画・策定する過程において自施設の強みや弱みの把握ができたり、行政・関係機関・地域組織との関係を強化できプラスの効果をもたらすことができる。
- 大規模災害等が発生して事業所の運営が停止した場合、その影響は利用者だけでなく、地域の福祉ニーズにも影響を与えます。災害による被害を未然に防ぎ、事業所運営への影響を最小限に抑えるためBCPは必要と考えられている。